顧客関係管理と利益化(星野崇宏)

  • 顧客関係管理と利益化1

    本コースでは、再現性の高い実証的なマーケティング施策を行う方法論であり海外企業の多くが導入するマーケティング・サイエンスの学知のうち、とりわけ汎用性の高い顧客関係管理(CRM=Consumer Relationship Management)について学ぶ。
    日本ではCRMは”上客を大事にする”ような誤った認知がされているが、本来は新規客や既存客といった顧客の属性ごとに対応を変えることで、利益を増加させるフレームワークである。
    例えば、限られたリソースを、新規客と既存客のどちらに振り分けるほうが利益が高まるかを計算する。
    その際に重要なのは、顧客生涯価値(LTV=Life Time Value)である。
    これは顧客から長期的に得られる利益を示すもので、CRMとはLTVの観点から誰にどの程度コストを掛けるかを決めることである。

  • 顧客関係管理と利益化2

    人間のリアルな行動原理を探る行動経済学の、顧客関係管理(CRM)への応用を考える。
    例えば人々は内発的動機付け、外発的動機付けに基づいて行動することが知られている。
    内発的動機をもつ人に、金銭報酬のような外発的動機付けを与えてしまうと、金銭報酬なしで行動しなくなることがある(アンダーマイニング効果)。
    これをCRMに応用すると、サービス利用に内発的動機をもつロイヤル顧客に、金銭的な報酬は与えない方がよく、内発的動機の強化に資する方策を与えるほうがよい。その他多くの行動経済学の応用を紹介する。

  • 顧客関係管理と利益化3

    企業のデータは、企業活動から集まるデータと、分析のため集めるデータがある。
    両者は異なる性質を持つため、解決すべき問題に応じてこれを使い分けねばならない。
    CRMの核心にある顧客生涯価値の計算にあたっては、離脱率の算定が重要である。
    離脱率の推定には、生存時間分析を行う。この時の注意事項について説明する。
    また、顧客関係管理における投資利益率(ROI=Return on Investment)の算定方法について解説する。

  • 顧客関係管理と利益化4

    ROIは、新規顧客の獲得のみならず、既存顧客の維持にも用いられる。
    近年はロイヤルティプログラムを行う企業が増加しているが、将来の値引きを管理するときも、投資利益率の算定は重要である。
    理想的なCRMは、一人ひとりの顧客単位に行うものだが、それは現実的には困難で、顧客の層ごとに行う。
    その際の顧客層の区分化について、手法を解説する。