戦略とゲーム理論(安田洋祐)

  • 戦略とゲーム理論1

    ゲーム理論とは、複数の人々の思惑が交差する、戦略的な状況を分析するツールです。
    この回は、ホテリングの立地ゲーム、囚人のジレンマゲームといった、代表的なゲームを解説します。
    そこでは支配戦略という概念が重要な役割を果たします。
    支配戦略とは、相手のいかなる戦略に対しても、自分の他のどんな戦略よりも大きな利得を与えてくれる戦略のことです。
    支配戦略を使って二つのゲームの均衡を導出し、現実の状況でゲーム理論的に物事を理解する眼を養います。

  • 戦略とゲーム理論2

    前回の講義では支配戦略が存在するゲームを扱いました。しかし支配戦略が存在するゲームは、必ずしも多くありません。
    そこで今回の講義ではナッシュ均衡という均衡概念を解説します。
    ナッシュ均衡とは一種の膠着状態で「どのプレイヤーも自分の行動を変えたくない(変えると損をする)」という状態です。
    ナッシュ均衡を用いると、支配戦略ではうまく分析できない、コーディネーション(協調・調整)ゲームなども分析できるようになります。
    コーディネーションゲームは、SNSのように「使用者数が増えるとサービスの有益度が高まる」ネットワーク外部性の理解にも有用です。

  • 戦略とゲーム理論3

    前回までの講義ではすべてのプレイヤーが同時に戦略を選ぶゲームを考えていました。
    今回の講義では、時間を通じてプレイヤーが順番に行動を選ぶゲームを考えます。
    同時手番ゲームを描写する際に利用していた利得表では、プレイヤーの行動を選ぶ順番を表現できません。
    そこで「ゲームの木」というツールを導入し、「自分がこうすると、相手はこうする」と先読みをするプレイヤーが、どのような選択をするかを分析します。
    この分析手法はバックワードインダクションと呼ばれ、現実の意思決定にも大変有用です。

  • 戦略とゲーム理論4

    先手後手があるゲームでは、ときに後手はあえて自分のとれる行動を事前に制限することで、先手の行動に制限をかけることができます。
    「殴られたら、殴り返す」と決めて発表しておくことで、相手に殴られないようにするというようにです。
    このような自らへの縛りをコミットメントといいます。
    ライバルが値下げをしてきたら、自分も値下げで対抗するというのもコミットメントの一種です。
    その結果として、自分もライバルも値下げせずに済むかもしれません。
    そのような行動を多段階ゲームを用いて考察していきます。