財務会計とコーポレートファイナンス(上野雄史)

  • 財務会計とコーポレートファイナンス1

    財務会計は、企業の諸活動を、貨幣情報に変換する仕組みです。
    財務諸表は、発生主義に基づいて作成されているため、将来の情報も含んでいる点が重要です。
    投資において難しいのは将来の不確実性ですが、財務諸表に基づくファンダメンタル分析には、その不確実性を減らす効果があります。
    亀田製菓やANAなどの事例をもとに、その使い方について解説します。

  • 財務会計とコーポレートファイナンス2

    アナリストが利用する財務諸表は、企業を取り巻く経済的要因を示している点で有用です。
    しかし資本の簿価と時価に差が生じている場合など、しばしば企業価値評価に適さないケースもあります。
    アナリストは不完全な測定結果を修正し、その他の情報で補うことが重要です。
    財務諸表から得られる情報と、得られない情報を把握することが大切なのです。
    財務情報は、取得原価など事実を示すハード情報と、株価など推測が含まれるソフト情報に分けられます。
    ソフト情報に含まれる推測の部分は、意思決定を間違わせることも多く、企業分析を行う際は、どちらの情報を使っているのか意識しておく必要があります。

  • 財務会計とコーポレートファイナンス3

    現金の出入を示すキャッシュフロー計算書を利用すると、利益情報のみでは分からない企業の安全性や将来性を分析することができます。
    本講義では、販売不振によって倒産したレナウンの事例を取り上げて、企業が衰退していく過程を見ていきます。
    いまや時価総額がトヨタを超すテスラモーターズも、長い間赤字続きでしたが、ある時点を境に株価が急激に上昇しました。
    投資家たちはなぜテスラに投資し始めたのか、その理由をPSR、PERといった指標を用いて説明します。

  • 財務会計とコーポレートファイナンス4

    企業間比較の障害となるファクターのひとつに、資本構成の違いがある。
    資本構成が異なる企業では利益に作用するレバレッジの影響も異なるため、同一条件で比較することができないためである。
    本講義では、資本構成の違いを解消する指標ROICおよびROIC算定の前提となる資産評価モデルについて紹介する。
    加えて、前回の講義で紹介したキャッシュフローと利益の違いについて減価償却の観点から説明し、なぜ企業価値評価に利益を用いるのかについて解説する。