集団的決定と会議の経済学(坂井豊貴)

  • 集団的決定と会議の経済学1

    人間の集団は、人間ではなく、人間たちが織りなす人工物です。この人工物の作動を決めるのが、その構成員による集団的決定です。
    ここで難しいのは、集団的決定にはさまざまな手法があり、どれを用いるかで結果が大きく異なることです。
    どんなときに、どの手法を用いればよいか、それぞれの手法について学びます。例えば多数決、決選投票、ボルダルールなどです。
    会議においては、審議の順番も結果に影響します。アメリカ議会におけるパウエル修正案をめぐる混乱など、審議の順番が結果を大きく変えた例を紹介します。

  • 集団的決定と会議の経済学2

    意思決定の方式として、近年注目が集まるマジョリティジャッジメントを主に解説します。
    この方式は、多数決がもつ主要な欠陥である「票の割れ」や「戦略的操作」の問題に対して、非常に頑健なことが知られています。
    この手法のもとでは、参加者はそれぞれの選択肢への絶対評価をすべて提出するため、集まったデータを分析すると、参加者や選択肢についてのさまざまな情報を求めることができます。
    実用例として、ブロックチェーン企業で用いたケースと分析結果を紹介します。

  • 集団的決定と会議の経済学3

    多数派の判断は、一人の個人の判断と、どう異なるのでしょうか。コンドルセ陪審定理は、一定の条件の下では、多数派のほうが「正しい確率」が高いことを保障しています。
    また、近年の多くの実験研究では、集団は個人よりもリスク中立的な判断をすることが確認されています。
    しかし、集団がそのような判断をするためには、各人が「独立性」の条件を満たしていなければなりません。
    これは他者の意見に無思考に追従したり、空気に流されたりしないという条件です。

  • 集団的決定と会議の経済学4

    この講義では前回までの内容を振り返りながら、最適な会議のあり方を探っていきます。
    第一に、各人の独立性(他者に追従しない、空気に流されない)はきわめて重要です。
    第二に、各人に手抜きをさせない動機付けが必要です。
    第三に、人数は多すぎても少なすぎてもいけません。
    そのような会議とはいかなるものなのでしょうか。