クリエイティビティの経営学(稲水伸行)

  • クリエイティビティの経営学1

    クリエイティビティを育む組織風土
    イノベーション創出にはクリエイティビティが欠かせない。
    働き方改革に代表されるように、昨今多くの企業はクリエイティビティが発揮しやすい環境整備に非常に注力している。
    人がクリエイティビティを最大限に発揮するうえでは、金銭的な報酬による動機付けではない内発的モティベーションを与え、自己決定感を感じられる職務設計をすることが重要だ。
    上司との関係、仕事の裁量権、仕事へのプレッシャーなどの環境要素についても論じる。

  • クリエイティビティの経営学2

    クリエイティビティを促す社会ネットワーク
    紐帯とは個人間の関係に関する概念である。
    閉鎖的な集団内では強い紐帯で各個人が結ばれており、それは集団内の連帯感や社会的凝縮性を高める点において有利に働く。
    一方、クリエイティビティを促すという観点に立った時には弱い紐帯が非常に重要となってくる。
    弱い紐帯は、分化した社会の統合に寄与し、イノベーションの拡散に繋がるからだ。
    クローズドなネットワークに所属する人よりもオープンなネットワークに所属する人の方が、より多くの人や情報に触れて新たなアイデアを得る機会が多く、その結果クリエイティビティやイノベーション、高い業績等に繋がる。

  • クリエイティビティの経営学3

    クリエイティビティと働き方(オフィスワークとテレワーク)
    従業員がオフィス勤務でクリエイティビティを発揮するにはオフィスレイアウトが重要である。
    具体的にはカフェスペースやミーティングスペースなど、働くエリアの選択の自由度が高くなるほどクリエイティビティ発揮に繋がるとされる。
    しかし、自由度をただ高めるだけではなく、活動内容に適した選択肢の提供が必要である。
    また、近年日本ではコロナ禍の影響を受け、テレワーク・在宅勤務という働き方が浸透してきた。
    この新たな働き方の導入は従業員のi-deals(=自律性の感覚)や自己決定度を上昇させ、それがクリエイティビティに繋がるのではないかと考えられている。

  • クリエイティビティの経営学4
    クリエイティビティを実現する組織変革
    典型的な欧米企業はトップダウン式の経営を行ってきた。
    例えばMicrosoft社では大規模な事業転換をするごとに、働き方改革や成果主義の徹底、成果評価軸の変更等を上からの指示で行い、組織の在り方を刷新してきた。
    「組織は戦略に従う」とはまさにこのことである。
    一方、典型的な日本企業はボトムアップ式の経営を行ってきた。
    クリエイティビティ研究は欧米を中心に発展してきた学問であるため、欧米で得られた示唆をそのまま日本に導入することは果たして日本企業にとって有益に働くのだろうか。
    そして、今後日本企業がクリエイティビティを向上を果たすには何が求められるのだろうか。