ESGの経済学(オムニバス形式)

  • ESGの経済学1

    過去10年の間にESG投資は急速に発展してきた。
    SDGsが浸透してきた日本では尚更にESG投資が盛んであり、投資家にとって重要な投資判断項目となっている。
    本講義ではまずESG投資が企業価値に与える影響を説明する。
    ESG投資が企業価値向上に結び付くセクターはそれ程多くないようだ。
    次にESG投資と企業の信用スプレッドの関係について説明する。
    信用格付けが低い企業にとってESG投資は、企業の持続性や長期的なパフォーマンスに関するシグナルとして有効に働く。
    最後に日本ではジェンダーが他のESG項目よりも重要であることを学んでゆく。

  • ESGの経済学2

    ESGに関するスコアリング方法には様々なものがあり、同じ企業に関する評価であっても評価機関によって異なるスコアが算出される。
    このことは評価機関によって異なるESG項目を重要視するが故に生じている。
    投資家サイドの混乱を避けるために、今後も評価方法の統一は進むだろう。
    そしてESG投資のような非財務情報の発信は理念的・網羅的になりやすく、投資判断項目として適切な機能を果たしづらくなるため、企業サイドはより明確な情報発信に努める必要に迫られるだろう。
    その際に企業は自らが抱えるESG課題に沿った具体的な目標やKPIの設定が求められる。

  • ESGの経済学3

    現在世界規模でカーボンプライシングの導入が進展している。
    同制度は排出削減に必要な社会全体の費用を最小化する点が最大の特徴で、脱炭素化に向けて必要不可欠であるとされている。
    1990年に世界で初めて導入された炭素税は今では多くの国に普及しており、EUやアメリカをはじめとして排出権取引制度も整備されつつある。
    しかし、温室効果ガス削減目標を達成するにはより効率的なカーボンプライシングが必要である。
    本講義ではカーボンプライシングの必要性を説くとともに、同制度を社会実装する上で抱える課題や現在注目されている施策にも言及する。

  • ESGの経済学4

    本講義では、人権の存在が資源配分にどのような影響を及ぼしているのかについて説明する。
    人権は「目的としての人権」、「制約としての人権」、「道具としての人権」という少なくとも3つの経路で資源配分に影響を与え、この分野に関して実証研究が進んでいる。
    講師が過去に手掛けた研究を元に、人権の有無が健康に与える影響を見ていく。
    近年では国家のみならず、多国籍企業も人権の責務履行者となっていることを説明する。