- 分断進むグローバル経済をどう読み解くか?1(伊藤萬里)
第1回「複層的なグローバル化の進展と今後」
現在、私たちは緩やかなグローバル化、あるいは脱グローバル化という時代に直面しています。その一方で、訪日外国人の急増や、スマホの普及と高速通信化などによって外国とのデジタル取引が拡大するなどグローバル化が一層進む分野も目にしています。初回はこうした複層的な特徴を持つグローバル化の趨勢を紹介しつつ、モノからサービスにシフトするグローバル化の今後について展望します。 - 分断進むグローバル経済をどう読み解くか?2(伊藤萬里)
第2回「企業のグローバル化と日本経済」
少子高齢化や円安が一段と進む中、市場を海外に求める姿勢はあらゆる産業で今後も重要になるでしょう。輸出や海外進出などグローバル化した企業にはどのような特徴があるのでしょうか。また、企業のグローバル化を促進することの利益はどのようなところにあるのでしょうか。実証分析で得られた知見を紹介しつつ、企業のグローバル化が再配分効果を通じて生産性と賃金の上昇をもたらすことを解説します。 - 分断進むグローバル経済をどう読み解くか?3(伊藤萬里)
第3回「揺れるグローバルサプライチェーン」
複数国にまたがった供給網、グローバルサプライチェーンは効率性の観点で我々に安価な製品へのアクセスをもたらしています。一方で海外での生産や調達の加速は従来から産業空洞化の懸念が指摘され、最近では経済安全保障や円安の影響への懸念も高まっています。こうした懸念を経済学的にはどのように考えたらよいのでしょうか。企業の調達戦略に関する理論を解説し、コスト上昇を伴うグローバルサプライチェーンの再構築について考えていきます。 - 分断進むグローバル経済をどう読み解くか?4(伊藤萬里)
第4回「グローバル化と格差・保護主義の台頭」
グローバル化はたびたび格差の要因として批判されたり、貿易を制限する保護主義的な政策が支持されたりすることが見受けられます。格差拡大や保護主義の台頭にはどのようなメカニズムが背景にあるのでしょうか。また、保護主義的な政策は経済学的にどのように評価されているのでしょうか。トランプ政権時の追加関税や、ハイテク分野の補助金政策などを事例に、理論と実証分析で得た知見を紹介します。