中東湾岸産油国の経済システム:国家とイスラムの視点から(細井長)

  • 中東湾岸産油国の経済システム:国家とイスラムの視点から1(細井長)

    第1回:「レンティア国家」の政治経済学
     中東産油国の政治経済的特徴は「レンティア国家」という概念で説明されます。多額のオイル・マネーが政府(王制国家ゆえ王族)に入り、それを国民や企業に対して「分配」することで経済が成立している姿です。これは経済だけではなく、統治の観点も含んだ社会の包括的概念です。このレンティア国家の仕組みを説明することにより、石油の富をいかに国民が享受しているのか、石油に依存した経済に死角はないのかを考えていきたいと思います。

  • 中東湾岸産油国の経済システム:国家とイスラムの視点から2(細井長)

    第2回:中東ビジネスにおける国家とイスラム
     湾岸産油国でのビジネスの根底にあるものはレンティア国家概念で、そこでは国営企業が中心となります。ビジネスと国家が綿密に結びつくと同時に、ソブリン・ウェルス・ファンドに代表されるように国際金融市場に影響を与える存在になっています。また、中東とイスラムは切り離せない関係です。一般的に宗教は禁欲的と捉えられますが、イスラムは商売を推奨する宗教です。イスラム金融に代表されるようにイスラムとビジネスの結びつきも近年では増えてきました。中東ビジネスを考える上で重要だけれどもあまり知られていない仕組みを紹介し、その付き合い方を考えていきたいと思います。