社会的選択理論への招待:投票と多数決の科学(坂井豊貴)

  • 社会的選択理論への招待:投票と多数決の科学1(坂井豊貴)

    第1回「選挙制度の設計」
    多数決と聞くといかにも多数派の意志が反映されそうだが、そうとは限らない。似た候補が乱立すると、それら候補のあいだで票が割れ、多数派の支持を受けていない候補が勝つこともある。2000年の米大統領選挙では、ゴアとネーダーのあいだで票が割れ、ブッシュが「漁夫の利」で勝利した。このような例は日本でも多くある。この回は望ましい選挙制度の姿について、事例を交えつつ、説明する。


  • 社会的選択理論への招待:投票と多数決の科学2(坂井豊貴)

    第2回「真実の探索
    陪審員裁判では、被告が有罪か無罪かを決める。そこでの投票には、真実を探す発見装置の役割が期待される。被告が罪を犯していたなら有罪、そうでないなら無罪を与えるのがこの装置の目標だ。一定の条件下で、多数決はその役割を果たす。18世紀後半にコンドルセが示した陪審定理は、そのことを数理統計学の手法で示している。質の高い集団的意思決定が、いかにして可能かを私たちは問う。